■破壊的リフォーム事件
事件受任に至るまで
相談者は、訪問営業に来た施工業者に対し、自宅の間取り変更を含むリフォーム工事を依頼しました。依頼の決め手となったのは、工事金額の安さでした。
ところが、本工事では、間取り変更を理由に建物の構造上重要な柱や耐力壁が取り払われてしまい、筋かいや梁が削られるなど、極めて危険な破壊的リフォームが行われました。このように危険な工事が行われた原因は、建築の構造に対する施工業者の無知でした。
相談者は、工事途中で施工業者から工事代金を二重に請求されたり、仕事のペースが遅かったことなどから不審に思い、相談に訪れたことで破壊的リフォームの事実が発覚し、私は直ちに事件を受任しました。
訴訟の流れ
当方は、施工業者に対し、クーリングオフや消費者契約法による契約取消し(不実告知)などを主張して、支払済みの工事代金全額の返還を求める訴訟を提起しました。
訴訟では、被害の重大性を考慮して、裁判所から早期に和解勧告がなされましたが、施工業者は零細事業者で資力がないなどと主張して、返還金の減額や分割払いなどを要求してきました。
当方としては納得しがたい要求でしたが、一刻も早い被害回復の必要があったため、やむなく減額和解に応じました。
訴訟提起から和解成立までの期間は約11か月でした。
コメント
「安かろう悪かろう」という故事成語は、建築業界では比較的当てはまるように思います。工事金額の安い業者に依頼しても、工事に不備があれば補修が必要になり、結果的に高い出費となります。「安すぎる」工事見積にはご注意ください。