■新民法の契約不適合は、旧法の瑕疵より有利?
令和2年4月1日から新民法が施行され、旧法の瑕疵担保責任が契約不適合責任に変更されました。そこで、新法の契約不適合の方が、瑕疵よりも責任が認められやすくなった(有利になった)のではないかと思われている方が多い印象です。
ですが、「瑕疵」と「契約不適合」という用語の意味に変更はありません。どちらも当事者が契約した内容に違反していることが「契約不適合」あるいは「瑕疵」となります。
法令違反についても、法令を遵守することは当事者間で当然の前提として契約しているのが通常ですので、法令違反も「契約不適合」あるいは「瑕疵」となります。
むしろ「瑕疵担保責任」では無過失でも責任が認められましたが、「契約不適合責任」の損害賠償請求は、「債務者の責に帰すべき事由」がない場合には請求が認められませんので、旧法では責任が認められたのに、新法では責任が否定されるケースが出てくるおそれがあります。
また、新法により代金減額請求ができるようになったり、売買契約でも履行利益が損害に含まれようになったなどの細かい変更はありますが、責任が認められやすくなったわけではありませんので、注意が必要です。
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