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弁護士紹介

高木 秀治


事例の目次

建築紛争の事例解説9

外壁剥落、請求認諾事件
事件受任に至るまで

本件は、集合住宅のガルバリウム合板サイディングという非常に大きな外壁材が、風に煽られて剥がれ落ちてしまい、外壁材を留め付けるために使用されていた釘の長さが短かったことから、施工業者及び工事監理者を相手に外壁材の貼替工事代金を請求した事件です。

建物の引渡しから訴訟提起までに約14年が経過しており、瑕疵担保責任の消滅時効がすでに完成していたので、不法行為責任に基づいて損害賠償請求しました。

訴訟の流れ

当初、剥がれ落ちたガルバリウム合板サイディングの貼り方のみを問題としていましたが、この外壁材は実は意匠用であり、その下には防火などを想定した窯業系サイディングの外壁材が存在しており、この外壁材の貼り方にも施工不良が存在したため、両方の外壁材の貼替工事代金を請求するという請求金額の拡張を行いました。

また、裁判所を通じて外壁材メーカーから当時の施工要領書を取り寄せたり、弁護士会を通じて外壁材メーカーから意見を聴取したりと、いろいろと工夫して主張立証したことで、最終的には、裁判所は当方が主張する施工不良を認める旨の心証を開示してくれました。

裁判の経過として、相手方は当方の主張を徹底的に争ってきましたが、裁判所が施工不良を認める心証を開示したことで態度を一変させ、当方が主張する請求金額について、遅延損害金まで含む全額を一括で支払う旨の和解を提案しました。 しかし、依頼者の強い意向により、当方があくまで判決を求めたところ、相手方は請求認諾をして白旗を揚げたので、完全勝訴により訴訟終了となりました。

訴訟提起から請求認諾までの期間は約2年9か月でした(新型コロナウィルスの影響により、途中で7か月ほど裁判の進行が止まりました。)。

コメント

建築訴訟において、これまでに勝訴判決や勝訴的の和解というものは経験してきましたが、請求認諾による勝訴は初めての経験でした。

近年、情報が瞬時に拡散される情報化社会となったことから、施工業者が裁判所による施工不良の認定をおそれて、当方の請求をほぼ全て認める形で解決する事例が増えていることを実感しています。

新型コロナウィルスによる影響もあって裁判は長期戦となりましたが、その分だけ遅延損害金を含む賠償額が膨らみ、最終的には請求金額を拡張した後の元本の約1.8倍もの支払いを受けることができたので、依頼者にはとても満足してもらえました。

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